080408人生で必要なことはすべてSFで学んだ:[医療]医師は不足しつつも過剰になる

人生で必要なことはすべてSFで学んだ:[医療]医師は不足しつつも過剰になる
ロースクールへの理解といい,法曹人口論についての指摘といい,禿げ上がるほど同意なので,原文をすべて引用します。

10年前には現場の医師ですら、(もうすぐ医師過剰時代が来る)と言っていたのに、今の世論は「医師不足」一色だ。その後押しもあって、ようやく医学部定員が少しばかり増えつつあるが、仮に、定員大幅増加が行われると、医師は現場では「不足」した状態のままで、新規雇用市場では「過剰」になる。

 弁護士雇用問題を見れば大体予想はつく。刑事裁判における国選弁護において、生活困窮者の民事裁判において、また、裁判外での法律サービスにおいて、弁護士は確かに不足している。しかし、それは、支払い能力のない需要なのだから、いくら不足感が高まっても、弁護士が増えても、法律サービスは充足されない。これを解決するには、法律サービスが基本的人権である(裁判を受ける権利)ことを根拠として、政府が金を出さなくてはならない。

 しかし、今のところ、どこにも、法律サービスの国庫補助を増やせという世論はない。マスコミは弁護士を増やせというだけで、国選弁護人の報酬の低さにはまったく触れない。

 結局、医師にも同じことが起こると予想される。生活困窮者、僻地などへの医療サービスは不足したままで、医師は過剰になる。霞を食って生きることはできないから、いくら余っても、不足している場所に医師は行かない。余った医師は失業するか、別の仕事に就くのだろう。

佐藤幸治先生は司法改革を国民の声と仰います。しかし,その国民の声の中身〜需要の分析がない限り,空疎な題目でしかなかったわけです。これから生じる可能性があるのは弁護士会の解体と,カネのために事件を作る弁護士です。それが果たして国民の望む司法の姿でしょうか。