081230社会奉仕命令の導入!?

asahi.com(朝日新聞社):犯罪者に「社会奉仕命令」 法制審部会、導入めざす意見

犯罪者を刑務所に入れずに街で清掃などをさせる「社会奉仕命令」と、刑期の途中で刑務所から釈放して社会のなかで更生させる「一部執行猶予」の制度が日本で初めて導入される見通しとなった。受刑者の再犯防止と社会復帰を効果的に進めながら、刑務所の「過剰収容」も解消する狙い。硬直化していると言われてきた日本の犯罪者の処遇政策を多様化させる転換点になりそうだ。
 少年審判の試験観察のような制度があれば…と思っていた身としては,評価が複雑。刑罰の選択肢が増えることはいいことですが,施設収容を一時的に見送って,生活状況などを見守る制度が欲しいところ。社会奉仕命令も,一部執行猶予もこれらを実現するものではない。

 理想とするのは,二つ。一つは,社会内での治療的なアプローチが必要な犯罪類型(犯罪者類型)に適切な選択肢をもつこと。二つ目は,短期の身柄拘束処分。滝本弁護士が似たようなことをおっしゃっておいてです。短期の身柄拘束処分で,威嚇と応報感情の充足をはかることを目的とするものです。

 一つ目については,薬物の単純使用への運用の不満があります。現在は,逮捕→勾留→起訴(最近は即決裁判が多いのでしょうが)という経過をたどります。特に即決では,情状証人が出ることが少なく,何よりも執行猶予判決が見込まれるので,本人への威嚇力が足りません。これでは,家族が更生に向けた努力をしない限り,繰り返す可能性が高くなります。本人が更生のための努力をする環境を,もっと整えるための枠組みを刑事氏方の場で作るべきではないでしょうか。

 二つ目については,短期の身柄拘束処分を有効に機能させる事です。これは,現在,捜査段階の逮捕や勾留を事実上刑罰の大体として活用している部分があります。ですから,ある意味運用で賄っているところがあります*1。少年事件を見ていて思いますが,観護措置が有効に機能する子どもは結構います。観護措置の結果,保護観察後の予後がいい子どもが少なくなくいる以上,成人にも短期の身柄拘束をもっと有効に活用する枠組みがあってもいいかと思います。

*1:むろん,その是非は問われるべきですが