080331池田信夫氏:消費者行政が消費者の敵になるとき(1)

池田信夫blog:消費者行政が消費者の敵になるとき

こういう官僚や弁護士と議論していると、何か基本的な知識が欠落していると感じるのだが、最近の後藤田正純氏の記事や宇都宮弁護士の記事へのコメントで、それがやっとわかった。役所の会計は現金主義なので、彼らはキャッシュフロー(入金と出金の流れ)の概念を理解していないのだ。企業の売り上げは税金のようにコンスタントに入ってくるものではなく、経常利益は黒字でも一時的に手形が落とせないといったことは、中小企業にはよくある。こういう場合、月2%ぐらいの金利つなぎ資金を貸す業者は必要なのだ。これは消費者でも同じで、難病の手術に500万円かかるが、手元に200万円しか貯蓄がないということはありうる。この場合、サラ金で300万円借りて数年かけて返済すれば、命は助かる。かりに返済できなくて破産したとしても、死ぬよりましだろう。それとも後藤田氏は「貧乏人は借金で苦労するより死んだほうがましだ」とでもいうのか。
もちろん,「死んだほうがまし」なんて,そんなことは誰も言わないわけで。
おそらく池田信夫氏はサラ金商工ローンがどのようにして利潤を生み出しているかについて,知っていながら書いていないのではないでしょうか。ここまで堂々と仰られているのですから。

サラ金消費者金融,以下サラ金に統一)がそもそもなぜ,かつて無担保で50万円という庶民にとっては大金を貸し付けたのかというと,それは利息が取れるからにほかならないわけです。長期分割で返済をさせるのも,庶民がかわいそうだからとか,善意からではなく,期間が長ければ長いほど利息を取れるからに他ならないわけです。当然,サラ金は金を貸し付けなければ利益(利息ですね)が出ないので,貸付こそが営業になります。だから,いったん貸し付けた顧客には「信用が付いた」などと言って,ジャブジャブお金を貸し付けるわけです。こうして,長期間,恒常的にサラ金からの借り入れが一向に減らない多重債務者が作り上げられるわけです。そのほうが利益になるからです。

サラ金の貸付の拡大ぶりからして,難病などのレアな出来事のために資金が必要だ,という理由での借り入れでないことぐらい,池田先生にも分かりそうなものですが。おそらく,分からないふりをしているのでは,と思われます。