080203 木村剛氏、いい加減な事を言うのははいけないと思います。

本日午前10時からのサンデープロジェクトにて。竹中平蔵氏の朋友である木村剛氏と、竹中平蔵氏が出演し、”なぜ日本株が売られるか”というテーマで議論しておいででした。その過程で、木村剛氏は、

グレーゾーン金利について、2006年1月の最高裁判決により、高金利を取ることができなくなった。それはいいが、過去のグレーゾーン金利についてまで過払い金の返還を求めるということができるというのは、法の遡及適用をしてはならないという大原則に反する。…このように、日本は法の公正な適用という大原則すら守られていない云々”(筆者の聞き取りなので正確性には欠けます。が、大意としては上記のようなものだったと記憶しています。)
という発言をしておいででした。

えーと、もともとグレーゾーン金利というのは、貸金業法第43条のみなし弁済規程により特例的に取得が許される高金利なわけで、立法技術としてはかなりゴチャゴチャした分かりづらいものでした。また、みなし弁済規程の適否については、2006年1月最高裁判決より前も、いわゆる消費者金融業者や商工ローン業者は相当程度負けていたわけで、2006年1月最高裁判決以前も、みなし弁済規程の適用は非常に厳しく制限されていたわけです。これらは、いわゆるクレサラ商工ローンの経験がある者からすると相当程度共通認識だと思われます。繰り返しになりますが、

2006年1月最高裁判決以前もみなし弁済規程の適用は厳しく制限されていた
なわけで、木村剛さんの
法の遡及適用をしてはならないという大原則に反する。
という議論は、前提を間違っているわけです。

おまけ。
竹中平蔵氏は”そもそも取引内容に当たる金利規制自体がおかしい、利用者は金利を認識して契約しているはずだ。過剰な取り立て行為などを規制すればいいはずであり、そもそも(今の)貸金業規制法自体がおかしい云々”と仰っていました。センセイまだそんなことを仰っておられるのか…。その理論だとヤミ金的高金利すら合法にしなければいけないし、取り立て規制は以前から存在していたが機能しなかった訳ですが。その上、韓国で金利規制が撤廃された結果、何が起こったかご存じないのでしょうかね。まったく不勉強であるにもかかわらず、竹中氏のような影響力のある方がそのような事を仰られるのは、非常に問題があると思うのは私だけでしょうか。