090117 東京弁護士会が女性弁護士に対して懲戒処分を

毎日新聞 ストーカー被害:相談内容ブログに書き込む 弁護士を処分

東京弁護士会は14日、自分が引き受けた事件の内容を依頼者に無断でブログに詳しく書き込んだとして、同会所属の遠藤きみ弁護士(66)を業務停止1カ月の懲戒処分にしたと発表した。

 同会によると、遠藤弁護士は九州地方の女性からストーカー被害の相談を受けたが、加害者とされた男性側から話を聞いた後の06年10月下旬、「本当の被害者は男性と言ったほうがよさそう」と書き込んだ。担当を辞任した後も、女性と男性の名前をイニシャルで記載し、女性の発言やメールの内容、女性に対する評価などをブログに記した。

 遠藤弁護士は同会の調査に「イニシャルで書いたので依頼者は特定できない。詳しく書いたが中傷が目的ではなく、この範囲であれば許されると思った」と話したという。

残念ながら,ウェブ上の記事は正確性を欠くようです。ストーカー被害で相談をした方が特定できるかどうかが一つの問題だったようなのですが,その点については触れていません。

なお,当該弁護士さんのブログはこちら。文章はしっかりされており,たまに拝見させていただいていました。そのなかで本件懲戒処分についても触れられています。
 弁護士会の方が,どうして特定可能と考えたのかということについて,これまでの経緯を振り返って,検討した結果,おそらく次のようなことだったのではないかということに気付いた。

 私がブログに書いた文章の中の「ロースクールの受験生」という部分を,その趣旨は,文字通り,ロースクールに入る目的でその入学試験を受けるための勉強をしている人ということだったのに,最初にこのブログの内容をとんでもないと言い出された弁護士さん(女性)が,「ロースクールの院生で,新司法試験の受験勉強をしている人」と誤読されてしまい,その誤読による影響が,本件処分にまで及んだのではないかということである。本件の懲戒請求がされる前,私が初めてこの弁護士さんによる調査を受けた際,私が,この文章では特定は不可能と申し上げたのに対して,「5000人の中の九州出身の女性で○というイニシャルの人」はそんなにいないから,簡単に特定されてしまうという言い方をされた。その時は,なんで分母が5000人なのかと不思議に思ったが,これは,当時のロースクールの総定員数を考えてのものだったのではないかと推測される。

 私の推測のとおりだったとすれば,随分酷い話である。

東京弁護士会がそのように誤解したのかどうかは分からない。そもそももとのブログの記事を読んでいないので,特定性について判断できません。ただ,特定の点について遠藤きみ先生の仰るとおりなら,審査請求でどうなるのか予断を許さないところ。
 ただ,ストーカー被害というデリケートな問題で,詳細に内容について書くのは,個人的にはどうかと思います。たとえ特定ができないのだとしても,相談された方がその記事を読んでどう思うでしょうか?