080222読売新聞:「無期」3人対「死刑」2人…強盗殺人で最高裁、異例の決定

読売新聞:「無期」3人対「死刑」2人…強盗殺人で最高裁、異例の決定

福島県いわき市で2003年、暴力団員2人を射殺したとして、強盗殺人罪などに問われた暴力団員の岡田孝紀(29)、面川昌功(27)両被告の上告審で、最高裁第1小法廷(涌井紀夫裁判長)は、検察、被告双方の上告を棄却する決定をした。/決定は20日付。両被告を無期懲役とした1、2審判決が確定する。決定は裁判官5人のうち3人の多数意見。2人の裁判官は、首謀者の岡田被告について、「死刑回避は不当」とする反対意見を述べた。過去に最高裁が2審の無期懲役を破棄した例は、連続4人射殺事件の永山則夫・元死刑囚など3件あるが、死刑か無期かで判断が分かれるのは極めて異例。
ごくおおまかですが、事案の概要は次のとおりです。
決定によると、岡田被告は03年11月、面川被告に指示し、所属する暴力団組織の幹部と構成員の2人を射殺させ、現金約30万円を奪うなどした。
暴力団員の幹部と構成員を射殺し現金を奪った事案で、死刑を回避した判断の当否が問われました。
涌井、横尾和子、泉徳治の3裁判官は多数意見で、「犯行は一般市民を巻き込むようなものではなかった」とし、暴力団組織内で起きた犯行だったことなどを理由に死刑を回避した2審・仙台高裁判決について、「破棄しなければ著しく正義に反するとまでは言えない」と述べた。/これに対し、検察官出身の甲斐中辰夫、弁護士出身の才口千晴の両裁判官は、「被害者が暴力団員だからといって、これを酌量すべきではない。本件が拳銃を使用した凶悪犯罪であることを重視すべきだ」などと述べ、2審判決を破棄すべきだとした。また、才口裁判官は裁判員制度の実施を目前にして、死刑と無期懲役との量刑基準を可能な限り明確にする必要がある」と付言した。
才口裁判官の指摘は重要だと思います。ただし、それは裁判員制度の実施を目前とするからだけではありません。今の制度では、死刑と無期懲役の間が相当開いているからこそ、でしょう。重さに相当程度差がある刑罰を基準について、明確性は必要です。恣意的判断を避ける意味で、裁判員制度が迫っているかどうかに関わらず、これは検討されるべき問題だったのではにかと思います。立法論としては、今の無期懲役よりも重い特別な無期懲役刑の創設は必要だと思います。