080213知的障害者に「奴隷生活」 保護の4人、経営者らを提訴

朝日新聞:知的障害者に「奴隷生活」 保護の4人、経営者らを提訴
恐ろしい話です。労働者が障害者の場合、こういう事が現に起こりえるのです。
内容的にここまで酷くなく、かつ、若干違う案件ですが、相談で聞いたことはあります。実力行使がまかりとおるとこのような事が起こるのです。

「10〜30年余りにわたって無報酬で奴隷のように働かされ、障害者年金も横領された」などとして、知的障害をもつ北海道内の32〜51歳の男女4人が13日、働いていた札幌市の食堂の経営者らを相手取り、約4500万円の損害賠償を求めて札幌地裁に提訴した。弁護士によると、住み込みだった4人は満足な食事を与えられず、昨年6月に保護された時はやせこけていた。歯磨きも長年しておらず、緑色の歯石がびっしりたまっていたという。経営者は保護の直後から行方がわからないという。
下記のとおり、まさに奴隷という表現がふさわしい生活だったみたいです。
毎日午前6時ごろ起床し、仕事中はトイレに立っても怒鳴られて午後10時ごろまで働かされた。休みは月2回。週1回、銭湯代が渡される他は金を受け取ったことがなかった。入浴も休日しか許されず、下着は汚れたものをずっと使っていた。親たちも知的障害があるなどの事情で、後ろ盾になれる状態ではなかったという。
まさに社会の様々な制度や、親族や友人関係などのつながりから排除された結果といえるでしょう。もやいの湯浅氏が、「貧困」とは「ため」が存在しないことだと言っていたことが思い出されます。
…(略)…食堂の経営者らは4人の障害基礎年金の手続きも無断で行い、約2600万円を横領していた疑いもあるという。弁護士が経営者に連絡がとれたのは昨年9月が最後。経営者は「面倒をずっと見てきた。責められることはない」と反論したという。訴訟では、本人確認をせずに年金の振り込み口座の開設を認めた信用金庫や、劣悪な環境を見逃した障害者支援団体も訴えている
信用金庫や支援団体に対する責任追求は、具体的な関与の状況によるでしょう。支援団体のあり方を考えるためにも、新聞記事にはここをもっと突っ込んで欲しかったと思います。
弁護士は「自己主張のすべがないのをいいことに、奴隷のような環境で人格をおとしめた。裁判を通じて警鐘を鳴らしたい」と話している。4人は現在は健康状態が良くなり、女性たちは化粧を楽しんで笑顔を見せるようになったという。
今回の事例は運良く社会に明かになっただけで、潜在的な件数は相当存在すると思います。