080209介護タクシー代2億円 詐取容疑で4人逮捕 北海道

朝日新聞:介護タクシー代2億円 詐取容疑で4人逮捕 北海道

北海道滝川市生活保護を受給していた夫婦が「通院に使った」として巨額の介護タクシー代金を不正に受給していた事件で、北海道警は9日、この夫婦と共謀した介護タクシー会社の取締役ら計4人を詐欺の疑いで逮捕した。
生活保護費の不正受給の事案です。よくある噂話として、”生活保護費で生活している暴力団員がいる”とかなんとか言われる類のものでしょうか。
夫婦は約85キロ離れた滝川札幌間を介護タクシーで通院したとウソの申請していた疑いが持たれている。道警は今回、被害金額として、市から被害届が出る以前の1年間に絞り、2億65万円の介護タクシー代金のほか、生活保護費約370万円を被害額として立件した。/逮捕されたのは、滝川市黄金町東3丁目、無職片倉勝彦(42)、妻のひとみ(37)の両容疑者と、札幌市の介護タクシー会社「飛鳥緑誠介(あすかりょくせいかい)」取締役の札幌市北区新川2条4丁目、板倉信博(57)、従業員の同市白石区東札幌2条6丁目、小向敏彦(40)の両容疑者。片倉勝彦容疑者は「おれの収入じゃない」と容疑を否認しているが、他3人は大筋で認めているという。
被害額を絞り込んだということは、これ以上の被害額がある可能性があります。

問題は、彼らが暴力団周辺車である可能性が高いということです。以下の日刊スポーツの記事が参考になります。
日刊スポーツ:タクシー代詐取は2億超、市の審査に甘さ

昨年度、滝川市が交通費を支給したのは60人。その中でも両容疑者の高額さは突出していたという。両容疑者は自宅のほかに、札幌市中央区内で温泉付きの高級マンションを賃借。さらに高級車を乗り回し、高級レストランでの飲食も繰り返していた。/道警はだまし取った生活保護費の多くを、こうした派手な生活につぎ込んでいたとみる一方、一部は片倉容疑者とつながりのあった暴力団に流れ、資金源になっていた可能性が高いとみて慎重に裏付けを進めている。/札幌市の業者によると、介護タクシーの札幌−滝川間の往復料金は通常、3万円程度。「25万円なんて金額はあり得ない。不正に気付かなかったのか」とあきれ返る。/滝川市は当初「職員が自宅を何度も訪問するなど調査は十分に行った。だまされただけだ」と釈明。強まる批判で、ようやく「落ち度はあったかもしれない。もっと早期に気付くべきだった」(居林俊男保健福祉部長)と不備を認める姿勢に。/捜査を担当した道警幹部も「行政のずさんさが付け込まれた結果だ」と話している。
暴力団とどこまでつながりがあったかどうかはわかりませんが、福祉事務所の手に余る事案であった可能性が高いと思います。
日刊スポーツは警察の言葉を借りて
「行政のずさんさが付け込まれた結果だ」と話している
と批判しています。しかし、この場面で福祉事務所を批判するのは個人的には非常に疑問に思います。窓口担当者や上司に対する行政対象暴力が想定される事案だったのではないでしょうか。行政対象暴力は以前よりも話題になるようになりましたが、まだまだ個々の職員をバックアップするのに充分な状態ではありません。正規のバックアップを受けられない公務員からの相談を、実際に受けたことがあります。

朝日新聞北海道版:弁護士も「支給停止を」滝川タクシー代不正

■市の顧問 昨年5月 実態調査も促す■市は支払いを続行/生活保護を受けていた夫婦が滝川市から約2億4千万円に及ぶ介護タクシー代金を不正に受け取っていた事件で、同市が昨年5月、顧問弁護士から「あまりに非常識な額で、支給を打ち切らねばならない」「診断書を出した医師を問いただすべきだ。夫婦から不服申し立てがあれば争えばいい」と強く直言されていたことがわかった。しかし、市側は「書類上の不備はなく、道の監査も通っている」と抗弁。具体的な調査に手を付けることなく、それ以降も夫婦が逮捕される同年11月まで、総計で約7千万円を支払い続けた。
これは、杜撰というよりも、どうしても払わないと困るような事情が担当者にあったと考えることが自然ではないでしょうか。暴力団との関係を暗に仄めかしたりして、威圧するなどしていた可能性は考えられないでしょうか。

なお、
毎日新聞:滝川のタクシー補助制度詐欺:北大病院が調査断る 市依頼に「個人情報」と /北海道

生活保護受給者に支給されるタクシー補助制度が悪用され、滝川市が市内の夫婦に約2億4000万円を支給していた問題で、夫婦が通院していた北海道大病院(浅香正博院長)が、市検証委員会(委員長・末松静夫副市長)の調査依頼を断っていたことが分かった。北大病院総務課は「警察が捜査しており、弁護士と相談して個人情報を出すべきではないと判断した」と説明している。/市は夫婦の主治医の診断に基づいてタクシー代を支給していた。検証委は当時の主治医の判断に間違いがなかったか確認するため、昨年12月28日付で北大病院と別の病院に文書で協力を依頼。別の病院では副院長らが面談に応じ、当時の診断などに間違いがなかったことが確認された。/しかし北大病院からは返事がなく、今月9日、病院を訪れ、面談を求めたが断られた。さらに10日付で「協力はいたしかねる」と文書で通知があった。検証委は「協力が得られなかったのは誠に残念」と述べている。【西端栄一郎】
こういう事があると、病院まで脅かされていたのではないかという危惧が…

最後に。これは明らかに犯罪です。生活保護という制度の当否を考える際に、このようなイレギュラーな事案を今後例に取り上げることがないように願います。また、今回の事件がなぜ起きたのかは検討されるべきであり、市や道警は、可能な限り犯罪収益を没収することを検討し実行すべきです。

【080210追記】
参考となる記事を貼り付けておきます。一見して暴力団員風であり、また、滝川市内ではそういう人物として有名だったという話もあります。
朝日新聞:北海道・介護タク代詐取 暴力団風 市、言いなり
アナーキー小池の反体制日記:#68ごろつき天国

容疑者の男は“ごろつき”として、市内では知られた存在でした。/彼が来て、担当は困ったことになったと思ったのだと思います。/ゴタゴタ揉めるのが面倒だし、彼が恐かったのだと思います。/書類を受け取って一目で「これは詐取しようとしている。」と思ったはずです。/しかし、「提出書類に問題は無かった」ので、そのまま受け取ったのではないかと思います。
恐ろしい話だと思います。しかし、繰り返しになりますが、滝川市にはこういう場合に職員をバックアップする体制はなかったのでしょうか。